鳩サブレーというお菓子がある。
表記上はサブレーと伸ばすらしいのだが便宜上、鳩サブレと書かせていただく。
鎌倉に本社を置く豊島屋が手掛ける、明治から続くハト型のサブレである。
神奈川を代表するお菓子であり、おそらく全国的な知名度を誇っているはずだ。
そんな伝統のある鳩サブレが鎌倉の本店限定でグッズ展開をしているのだ。
鳩サブレを模したポーチ、キーホルダー、ハンドタオル等、そんなありふれたラインナップの中にひときわ異彩を放つアイテムを発見してしまった。
「鳩ビーム」だ
これに強烈に心を奪われてしまった。ネットで鳩ビームの情報を見つけた翌日には私の足は鎌倉に向かっていた。
「なにそれ?」というのは当然の疑問だろう。
なんでも筒状のレーザーポインター的なもので、鳩サブレの形のビームを撃てるらしい。
ボタン1つでいつでもどこでも鳩サブレを出現させることができるのだ。
そこで次の疑問が出てくる。
「なんの意味がある?」と
しかし愚問である。意味などない。断言できる。
企画者、開発者、生産者、販売者、購入者。
全ての鳩ビームに関わった人間が意味など求めていないはずだ。
鳩サブレを出現させなければ生きていけません、などという人間はいないのだ。
全員がナニコレ?と思いながら携わったはずだ。
かくいう私もナニコレ?と思いながらレジに並んだ。
むしろ意味があったら買わなかっただろう。
言うなれば「無駄の結晶」
しかし、この片付けという仕事をしているとつくづく思う。
無駄こそ人生の本質なのではないか?と殺風景な部屋に住んでいるミニマリストより、ガラクタに囲まれて散らかった部屋に住んでいる人の方が幸せそうに見えるのだ。
どれだけすり減って困窮しても鳩ビームを買える程度の心の余裕は残しておきたいものだ。
散々無駄とは言ってみたが、鳩ビームを迎え入れる余裕があれば、暗闇で誰かの足元を小さく照らすくらいはできるかもしれない。
