娘の影響で音楽のプレイリストが童謡とアンパンマンに埋め尽くされたため、たまには渋めの音楽に浸ろうと思い、レコードカフェに行ってきた。私が好きな60~70年代の音楽を中心に揃えているらしい。
こういう店は一見さんに厳しいイメージがあったため、仕事仲間の太郎を呼んで同席してもらった。
太郎は変態ギタリストなので良い音楽があればどこでも来る。
マスターが常連さんと談笑しているところに肩をすぼめて恐る恐る入ったのだが、気さくに迎え入れてくれた。
奥さんとマスターの2人で経営されているようだが、奥さんの方はさほど音楽に興味がないようで、無理矢理付き合わされてる感が微笑ましかった。
店はカウンターバー形式で、大昔のレコードを聴きながらコーヒーやお酒、軽食をいただける。
太郎が車で来たのでとりあえずコーヒーを頼んだのだが、豆の違いなどわからん私のような男でも美味しさだけは分かった。
店のスピーカーからはザ・バーズが流れてる。
村上春樹みたいな言い回しになってしまった。あの人は作中で誰も知らない曲を急に流してくるから困る。
バーズはビートルズと同時期くらいに活動していたフォークロックバンドだ。音圧がすごい。
リクエストがあれば是非と言われたため、折角だしと流れでバーズの元メンバー、デヴィッドクロスビーのソロをお願いした。
日本では誰?みたいな人なのだが当然のように揃えてある。
隣の常連さんとも話したのだが、家にこのレコードが2枚あるらしい。
ここは本当に日本か。店から一歩出ると誰にも伝わらないような単語が飛び交っている。
クロスビーは私が大好きなミュージシャンだ。
興味のない人に説明すると、小田和正を美声はそのままに薬漬けにして頭をバグらせたような人だ。前科も沢山ある。
人格はちゃんと終わっているのだが、彼にしか書けないような曲をいくつも残している。
何百回と聴いてきた曲がアナログレコードになることで新鮮に聴けて感動した。
太郎はベンチャーズをリクエストしていた。太郎のギターの教科書的な存在らしい。
10番街の殺人とかいう物騒なタイトルにも関わらず軽快な音が響く。
その後も洋邦織り交ぜて2時間ほど楽しませてもらったのだが、コーヒーと軽食で居座ったのが申し訳ないくらい贅沢な時間を堪能できた。
最後にはシラフの酔っ払いの完成だ。
次は飲みに来ます、とマスターに伝えて退店。
心震わせる音楽、常連さんに愛されるお店、捨てられる寸前のレコード。
次の世代に残していかなければ、と改めて思った。しがないリユース業でもその一端は担えるはずだ。
